スギ樹皮の利用について(W)
― 農業用資材としての利用 ―

はじめに
 平成12年度に施行された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の規制強化に伴い,製材工場や原木市場で発生する残廃材やバークの処理が問題となっています。当研究所では、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「抗菌成分分離によるスギバークのバイオマス資源化と商品開発」(H15〜H17)の採択を受け、大学や企業、農業研究所、畜産研究所等と共同でスギバークの利用について研究を行ってきました。その結果、スギバークが様々な分野に利用可能なことが分ってきました。今回は研究成果の中から粉砕したスギバークの農業用資材への利用について報告します。                       
バーク粉砕方法
 まず、原木市場や製材工場などで発生したスギ樹皮を一次粉砕(写真−1)でチップ化します。続いて二次粉砕(写真−2)を行いますが、スクリューカッター式といわれる粉砕方法で繊維化します。細かく粉砕され、養液栽培用培地や高設栽培用培地など、農業用資材として利用できることが、農業研究所の研究で分かってきました。また、一次粉砕したものについては、防草用のマルチング用資材として低コストで利用することが可能です。

写真−1 一次粉砕バーク
一次粉砕バークはチップ状に粗く粉砕されています。


 写真−2 二次粉砕バーク
二次粉砕バークは細かく粉砕され、繊維化されています。

事例1.除草用マルチング資材としての利用*1 場所:徳島市
 キクの植栽間に一次粉砕したスギバークを敷設しマルチング材として使用しています。スギバークは精油等により撥水性があり、水捌けがほどよく、また、腐朽しにくいことから長期間使用できます。 

写真−3 マルチング状況         

事例2.ユリコンテナ栽培への利用*2
 場所:徳島市
 8月下旬から二次粉砕スギバークを培地に用いたコンテナ栽培の現地実証試験を行った結果、大きな問題もなく収穫に至りました。この粉砕スギバークを用いたコンテナ栽培の導入によって病害虫予防や生産性の向上が期待できます。
 
写真−4 ユリの生育状況          

事例3.イチゴ栽培への利用*2
場所:三好市、阿波市など
 イチゴの高設栽培等の培地としての利用について農業研究所で研究した結果、実用性が高いと報告されています。

写真−5 イチゴ栽培用スギバーク培地

事例報告まとめ
 事例報告として、現在生産現場での実証試験を行っているものについて報告してきました。農業研究所ではスギバークの単年使用の実用性を確認しており、現在は、トマト、イチゴについて連年使用の影響を追跡調査中です。今後、県産スギバークをこのような農業用資材として利用していけば、地産地消に貢献していけるのではないのでしょうか。

おわりに
 これまで当研究所では、スギ樹皮の利用について(技術情報カードT〜V)で報告してきたように、スギ樹皮のバイオマス資源化について研究してきました。現在は、これまで得られた成果を現場にフィードバックしているところです。今後も、当研究所ではここで報告したような農業用資材をはじめ建築用資材としての利用を進めるために、品質向上やコストを低減する研究をしていくことにしています。

*1協力機関:徳島農林事務所農業支援第1課
*2協力機関:徳島県立農林水産総合技術支援センター 技術支援部
〔引用文献〕
先端技術を活用した農林水産研究高度化事業「抗菌成分分離によるスギバークバイオマス資源化と商品開発」研究成果報告書 平成18年4月 徳島県

■内容に関するお問い合わせ先
 徳島県立農林水産総合技術支援センター
森林林業研究所   木材利用担当 金磯
TEL  088-632-4237   FAX  088-632-6447