[
トップページ
] → [
トピックス
] → [
担当別トピックス
] → [ヒジキ養殖への挑戦]
ヒジキ養殖への挑戦
環境増養殖担当 牧野賢治
近年、国内産養殖ワカメが外国産ワカメの輸入の増大により市場から押され気味になっています。また、生産現場においては、付着珪藻、付着生物の増加によりワカメに付着物が多数存在してしまい、これらを取り除くためには、付着物があるワカメの葉の部分を切り落とすという事態が起こっています。そのため、ワカメの収穫量が減少しました。その他にも雨不足、珪藻プランクトンの増加により、海中のワカメの栄養源が不足することが原因のワカメの色落ち(栄養不足)によりワカメ品質の低下を招き、ワカメの単価が下がりました。これらの事によりワカメ養殖業者の収入が減少したという問題を抱えています。
表1 ヒジキ生産量ベスト15(平成12年度)
当研究所ではこのような問題を解決するために,ワカメ漁場の調査、ワカメの優良品種作出研究を試みているところであります。また、今回は養殖業者の収入増加を目的にワカメに代わる藻類養殖として,日本ではまだ試みが少ないヒジキの養殖に着目し,それの養殖技術の確立を目指していますので、ご紹介します。
ヒジキ生産の現状について
ヒジキの生産量について、全国の生産量と徳島県の生産量の推移について説明します。農林水産統計によりますと(平成12年度)、全国で7,247トン生産されています。全国ヒジキ生産ベスト3として、1位長崎県、2位千葉県、3位三重県となっています。徳島県は11位です(表1参照)。図1に平成8年から13年度までの徳島県におけるヒジキ生産量を示しています。赤色の棒グラフは徳島県全体の生産量の推移を示しております。棒グラフ上部の数値は各年ごとの徳島県全体のヒジキ生産量で単位はトンです。青色は県南部、黄色は県北部の生産量です。県北部とは鳴門市から阿南市までを、県南部とは海部郡全体を定義します。この図1のグラフから、ヒジキの生産は年変動が激しいこと、徳島県全体の生産量の約9割は県南部で生産されていることがわかります。
図1 各年度におけるヒジキ生産量の推移
写真1 天然ヒジキ
写真2 養殖試験に使用したヒジキ
写真3 養殖セットの風景
写真4 生長した養殖ヒジキ
ヒジキ養殖試験への取り組み
表2 生長比較試験結果
図2 養殖セット平面図
水産研究所では、ヒジキ養殖試験への取り組みとして、野外でのヒジキ生育状況の観察、効率的な養殖方法を検討しています。ヒジキの生育に関しては水試だよりVol.42に掲載していますので、ここでは、実施しました効率的な養殖方法を目指した試験結果を紹介します。ヒジキ養殖については、天然に自生しているヒジキを根つきで採り、それをワカメ養殖に使用しているロープに挟み込み、ワカメ養殖と同じ方法で養殖をすればヒジキが生長することが解っています(詳しくは平成11年度漁村研究実践活動研究報告書を参照してください)。ヒジキ養殖の効率化を目的に,決められた養殖面積の中で、大量にヒジキが生産できる方法を検討してみました。試験地は、県北部にある粟田漁港沖合い(播磨灘)で行いました。11月、粟田漁港地先に生息している全長5〜10cmのヒジキを採取し,ワカメ養殖用のロープ20mに5cm間隔でヒジキを差し込みます(以下種ロープとする)。通常、ワカメ養殖では種ロープと種ロープの間隔は1mなのですが、養殖セットにより多くのヒジキ種ロープを張ることを想定して、種ロープと種ロープの間隔0.5mの試験区を設定しました。間隔0.5m、1mの2試験区を設定して,それを養殖セット(20×20m)に張り込み,生長比較試験を5月まで実施しました(図2)。
養殖試験結果を表2に示しています。間隔0.5m、1mを比較しますと、1m間隔のヒジキの生長がいいような感じがしますが、最小値に大きな差がないので、一概には言い切れません。また、北西の季節風の影響により養殖セットの張りが弱まっていたので、間隔0.5m試験区の種ロープは隣の種ロープとこすれ合う状態になり、ヒジキがそぎ落とされた部分が何箇所かありました。まだまだ検討の余地があるかと思われます。今後も、試験研究を継続し、ヒジキ養殖技術の確立を目指したいと考えております。現在、北灘漁業協同組合粟田支所青壮年部との共同でヒジキ養殖実現に向けて努力しているところです。ヒジキ養殖に興味のあるお方は遠慮なく水産研究所 牧野まで、ご連絡ください。
[担当別トピックス]に戻る
[このページの先頭にもどる]